うつ病を治療していると、たまに考えるのが「私はただ怠けているだけなのでは?」ということ。よく、うつ病というとそういう言葉を見たり聞いたりしますが、他人から見てどうとかいう問題ではなく、自分自身がよく分からなくなるときがあります。もし、同じような考えで悩んでいる人がいたら、ぜひこの記事を読んでほしいです。

症状が軽くなったからこその悩み

私がうつ病と診断されてから、早2年が経とうとしています。それでも未だに減薬には至らず、一度増えた薬の量のまま過ごす日々。最初は半年~1年くらいで治るものだと思っていました。今は薬を飲んでいればある程度家事や人付き合いができるものの、「いつまで薬を飲み続ければいいのだろう…」と不安にかられるときもあります。

うつ病の薬を飲んでいることで制限されることもありますし、新しく知り合った人に自分がうつ病だとカミングアウトしたほうがいいのかもかなり悩みます

だって、私がうつ病だと言わない限り、きっとその人は私のことをうつ病だとは思わないだろうし、言ったところで何か良いことがあるのかというとそういうわけでもありません。現に、保育園のママ友に「一時期保育園の送り迎えがパパばかりのときがあったのは、うつ病になって休職していたからだ」と最近打ち明けたのですが、そのママからは「仕事が忙しいか、2人目を妊娠したのかと思っていた」と言われました。

今も治療中ということにも驚かれた次第です。

実際、7年とか10年とかうつ病と付き合っている人もいるわけで、私の2年なんて可愛いものだと思うのですが、長引くことで不安にかられることがあるからこそ、うつ病になってからの自分を振り返ってみました。

 

うつ病になってからの思考パターンの推移

うつ病が発覚するもうつ病であることが受け入れられない

長引く原因不明の不調から、うつ病ではないかとうすうす感じてはいたものの、実際にうつ病と診断されるとなかなかそれを受け入れられませんでした。以前できていたことができなくなっていく恐怖や、異様に気になる周りからの視線、なにも美味しく感じないし楽しくもない…いったい自分は何のために生きているのかとさえ思いました。

今思えば、うつ病になったことを認めることで、うつ病である自分と向き合う覚悟を決めるのが怖かったような気がします。

うつ病になってしまった自分が情けなくて、何がいけなかったんだろう…どこで間違ったんだろう…と自分を責めてばかり。

うつ病と向き合う。

それは、自分の理想ではなく、今ある自分と向き合うことでした。自分には何ができて、何ができないのか。それを見るのが怖かったのです。

 

動くことができないため休むことが自分の仕事と言い聞かせる

うつ病を受け入れるとともに、できない自分と向き合う生活が始まりました。その第一歩が休職。「私は仕事ができない」と認めることです。

私は仕事で認められたかった。仕事で成功したかった。何か社会の役に立っているという実感が欲しかった。

ずっと抱えてきた理想や目標を諦めることは本当につらい。もう走り続けるのは難しいと分かっているのに、すがり続けたい自分がいるのです。でも、それは「できない自分」を隠すために必死で作り上げてきた鎧を脱ぎ捨てるということでもありました。

うつ病になるずっと前から、「周囲の期待に応えたい、周囲の人に良く見られたい」そんな思いにとらわれて、本当の自分をないがしろにしていたんだと思います。理想や目標をかかげて努力することは大事なことです。でも、果たしてそこに本当の自分はあったのか?その努力の源に自分の本当の気持ちや感情がついてきていなかったら意味がないのです。

今だからこそ、あのときは自分を偽って頑張り過ぎていたと分かります。

でも、当時はそんな余裕はどこにもなかった。「仕事や家事をやらなければいけないのに、体が動かない。今は休むことが私の仕事なんだ。」そう言い聞かせながら、できない自分を情けなく思い、消えてしまいたい衝動にかられる毎日。そもそも「やらなければいけない」というのが間違いだったんです。色々なものを背負い込ませていたのは、他の誰でもない自分自身でした。

 

症状の悪化で増薬となり先の見えない不安に

休職できる期間を使い切り、まだ完全とは言えないものの、復職をすることに。この時期には、なんとか電車にも乗れるようになり、めまいや頭痛もかなり減ってきていたので、治療をしながらでもなんとかなると思っていました。そういった考え方ができるだけ、かなり症状は良くなってきたと言えます。しかし、私はまだ自分のことが何も分かっていなかった

できない自分をまたもや偽って、仕事に復帰したことで、症状が悪化してしまったのです。うつ病初期のころのように、涙がとまらなくなったり、朝起きることができなくなったり…それでも、一度休職しているのだから周りに迷惑はかけられない…そんな風にまたもや自分を痛めつけるかのように、周囲に明るくふるまって、どんどん症状を悪化させてしまいました

体が辛いながらも、仕事は続けようという思いもあり、仕事にいく体調をキープするために薬が増えることに。半年かけてゆっくりと休んだにも関わらず、半年かけて悪化させてしまう。今考えれば、何をしているんだろう…という思いでいっぱいです。

一時は回復していただけに、1年経ってからの増薬は先行きを不安にするものでした

 

少しずつ外出できるようになる喜び

主人の出張が続いたこともあり、体調はどんどんと悪化。このままではいけないと、仕事を辞めることに。仕事を辞めてからの1ヶ月は、ほとんど外にも出ず、家の中でぐったりと寝て過ごすような毎日を送る生活でした。しかし、仕事を辞めたことで、収入が減ったので子どもの保育園はやめさせることに。体調の悪さをかかえながら、子どもと過ごす生活は本当に大変でしたが、主人の協力や、家事はなるべく手を抜くことで体を休め、少しずつ外出もできるように。

子どもと公園で遊びながら、回復してきているという実感を持ちました。

 

調子の良い日が増えることで疑心暗鬼に

そこからとんとん拍子に回復するかといったらそうではなく、なんとなく外出ができる日や家事がある程度できる日が続くものの、やはり以前のようにてきぱきと家事をこなせない。自分でも、手を抜いているという自覚があるだけに、後ろめたい気持ちが増えていきます。

「もっと頑張れるんじゃないの?うつ病だってことに甘えているだけじゃない?」

という思いにかられます。治療開始から2年経っていることもあり、手を抜く習慣がついてしまっているだけなのではないかという疑心暗鬼に。子どもが幼稚園に行きだしたことで、他のママ友と自分をどうしても比較してしまいます。

そして、またしても自分を追い詰めてしまうことに。「周りのママのように、私もできるはず!」という思い上がりで張り切り過ぎてしまい、回復してきていたのに2週間ほど寝込むことに。

 

辛いけれど過去を振り返ることも大事

今の状態が続いているように思えても進歩はしている

こうやって順を追って見てみると、私の悪い癖は「誰かと比較し、理想を追い求め、自分にできること以上を背負ってしまう」というところ。同じ失敗ばかりですが、少しずつ、自分を追い詰めてしまう悪い癖を客観的に見つめることができる自分がいます。これは、うつ病になったばかりのころには全くなかったことです。

そして、よくよく思い返せば、そんなことを考えている余裕はなかった。いつもめまいを感じ、人と話をするたびに吐き気を感じ、眠ろうとすれば金縛りや悪夢に襲われる。

いまではそんなこと全くありません。なんだ、進歩しているじゃないか。ちゃんと回復しているじゃないか。

振りかってみることで、今の自分がどこにいるのか見えてきます。

 

うつ病以前を基準として考えない

つまり、私はうつ病前の自分に戻ろうとするあまり、自分のできることの範囲を無理矢理広げてしまおうとするのです

うつ病以前の私とは何なのでしょうか?自分にできない以上に頑張る自分。周りの評価や眼を気にする自分。

本当に、そんな私に戻りたいのか。それはNoです。自分にできる範囲で、ゆったりと暮らしている今は本当に幸せだと言えます。ずっとこのままでいいかと言われたら、もう少し家事をできるようになりたいとか、子どもと一緒に遠出してみたいとか、いろいろ望みはあります。きっと、うつ病以前の私だったら、めいいっぱい詰め込んだ生活を送っていたことでしょう。

でも、そうじゃなくていい。いま、こうやって起きていられることが、食事を楽しめることが、子どもと笑いあえることがとても貴重なこと。また無理をしたら、あたりまえのような今さえ、あっという間に失われてしまうのです。それはもうよく分かっている。

だから、悩むときもあるけれど、自分を責めるときもあるけれど、今の私が基準。いつもの悪い癖がでてきたら「今できることをやる。今のままでもいい。」そう自分に言い聞かせるようにしています。

 

女性におすすめ。ケーススタディ―がとても参考になる本

うつ病と長く付き合っていると、今の状態が当たり前のように感じることがあります。当たり前というのは、うつ病当初からこの状態のように感じてしまうということ。でも違うんですよね。人の記憶はあやふやなもので、よーく思い出そうと思わないと、忘れていることがたくさんあるんです。だからこそ、うつ病には過去を振り返るために日記をつけたり、生活の記録を残すことが良いと言われます

それでも、不安になってしまうのは、自分だけのような孤独感があるからではないでしょうか。自分だけができない、他の人はできてる。考えないようにしても考えてしまいますよね。

そんな女性に読んでほしいのが『女性のうつ病がわかる本』。この中には、うつ病に関する知識だけでなく、うつ病に悩む様々な女性がケーススタディーとして登場します。自分と同じ境遇や悩みを抱える人から、まったく違うことがうつ病の原因になっている人まで状況は人それぞれ。

過去の自分を思い出し、振り返るきっかけになるのはもちろん、悩んでいるのは自分だけではないことが分かります。

やはり、同じうつ病といっても、女性が抱える悩みと男性の抱える悩みには違いがあります。だからこそ、女性という視点で書かれたこの本はとても参考になりました。私と同じように、うつ病であるが故の悩みを抱える女性にぜひ読んでほしい一冊です。

 

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